CRAに興味があるけど、仕事ってきついの?
こんにちは、もにたーです。
CRAになりたい。
様々な経緯でCRAを目指している人へ、仕事の実態についての調査はできていますか?
憧れが強いとその分、ギャップがあった時の失望も大きいですよ。
CRAは、よりよい医療が患者さんの元へ届けられるように、各医療機関における治験が治験関連規制に基づいて適切に実施されているかをモニターします。
それだけ聞くと崇高な仕事ですが、そんなイメージとは裏腹に、泥臭い部分や公にはなっていない事実が多々あります。
実際にCRAになって現場に出たはいいけど、数年もせずに仕事がきつくて辞めていく人も多いです。
正直、人の入れ替わりが激しい職種だと思います。
今回は、CRA業務の実態ついて解説します。
目次
施設立ち上げ時期の深夜残業、休日出勤
施設で治験を開始するためには、初回IRBで治験の実施が承認され、契約を締結する必要があります。
ですが、そのために準備しなければならない書類が多いので、1施設だけでもそれなり(数か月程度)の時間がかかります。
加えて、現在はグローバル治験が増え、同じ被験薬(薬候補の物質)で対象患者が異なる試験を並行して行う、複数プロトコールも通常運転になってきました。
1施設につき複数プロトコールで治験を行いますので、書類作成に要する時間は倍近くかかります。
それが複数施設担当だとさらに時間を要します。
しかし、初回申請のための書類は事務局への提出期限があるので、間に合わせなければなりません。
そのため、止むを得ず深夜残業や休日出勤をすることがあります。
私は4施設8試験を担当していましたが、3〜4か月連続で残業時間が60時間を超えました。一時期は休日出勤もしていました。
とはいえ私は比較的手続きに時間がかからない施設ばかりだったので、まだマシな方で、中には毎月のように90時間近く残業している人もいました。
立ち上げ終わり!でも症例が多いとまたしんどい
治験開始の準備が終わり症例組み入れ(患者さんの登録)が始まると、業務が一段落します。
しかし、組み入れが始まると同時に立て続けに症例登録が続くと、今度はSDVに追われます。
※SDV(source document verification):症例報告書のデータとそのもととなる原資料との整合性確認のこと。
日本の治験では、施設毎に組み入れる患者数(契約症例数)を決めていますので、予め被験者候補がいれば、組み入れ開始と同時に登録されます。
CRAとしても、契約症例数の達成は評価に繋がるのでありがたいのですが、一気に登録があると、それはそれで大変なのです。
まず、施設で1例目の被験者のスクリーニングが行われると、CRAは施設へ訪問し、カルテなどの記録を直接閲覧して被験者の適格性確認をしなければなりません。(適格性確認のための直接閲覧は本登録前に行くのが通常ですが、本登録後に行くというスタンスの依頼者もいます)
適格でない人の組み入れは重大なプロトコール違反ですしね。
合併症がなく通院歴も浅い人であればよいのですが、合併症が多く通院歴も長いような人は情報量が多いため、適格性確認に時間を要します。
加えて、合併症が多い人はたいてい併用して飲んでいる薬も多いので、併用薬の確認にも時間を要します。
合併症や併用薬は症例報告書データとして収集しなければなりませんが、CRAはそれらをSDVする必要があるため、CRAはCRAで合併症や併用薬情報をまとめておく必要があります。
そのため、立て続けに登録があると、それをメモするのも一苦労、さらに、CRCの手が回らなくなり、原資料の作成が滞ります。
結果、SDV進捗が悪くなるため、施設への訪問回数が増えたり、CRCへの指摘が増えたりと業務に追われることになります。
実際、症例の多い施設の担当者は残業が多く、出張の回数や日数も多いです。
出張の移動疲れ
CRAとしての経験が浅い場合は、比較的近場を担当させてくれることが多いです。
しかし、経験年数が長くなるにつれ、全国各地を担当することになります。
同じ地域にしてくれればよい方で、大抵はあちこちの担当になることがほとんどです。
時には施設滞在時間よりも合計の移動時間の方が長くなることもあります。
最初は外勤が楽しくて、外勤ついでに散策していましたが、気づけばホテルでゆっくりしたいと思うようになりました。
各地に行くのが楽しいのは最初だけ。残るのは移動の疲労です。
依頼者に振り回されるストレス(CRO CRAの場合)
特に海外の依頼者に多いです。
文化の違いもあるので、ある程度は致し方ないところもあるのですが…
例えば、最初に確認していたことに対して、途中からやっぱりダメと言われたりすることがあります。
施設に伝えていた内容が変わった場合に施設担当者に伝えるのはCRAで、それに対して施設からのお叱りを受けるのもCRAです。
海外では日本のように自分が悪いわけではない時にも相手に配慮して謝る文化がないため、向こうがミスをしても何かと理由をつけて結局謝罪はありません。
悪びれない依頼者に振り回されるのは、文化の違いがあると言えどもなかなかにストレスです。
依頼者と施設の板挟みによるストレス
同意説明文書や契約書など、記載内容に施設ルールがあるものはよく揉めます。依頼者にも依頼者のルールがありますからね。
しかし依頼者と施設の架け橋になるのはCRAですので、依頼者の言い分を施設に伝え、施設の言い分を依頼者に伝えます。
正にただの伝書鳩。
もう直接やり取りしてよと思う日々。
施設担当はCRAなので、この板挟みからは逃れられないんですよね。
ストレスです。
割りに合わない給料
CRO業界に繁忙期というものはないので、多忙な時期は治験の開始時期によります。
多忙期は残業が多くなりますが、残業をしすぎて36協定に引っかかりそうになると、上司に残業しないよう言われます。
しかし、CRA業務が施設担当制である以上、人に仕事を振るにも限界があります。
平日の残業だけでは足りず、休日出勤をせざるを得なくなった場合、最初は上司に言って出勤していたものの、残業や休日出勤しすぎると評価にも影響するので、最終的には上司に言うのも面倒になりサービス出勤もしくは家でサービス業務をしてしまうという始末。
仕事ができるスーパーCRAであれば、そんなことはないかもしれませんが。
どんなに忙しくてもそれに見合う見返りがあれば頑張れますが、実際のところ、多大なストレスと業務量に対する見返りはそんなに多くありません。
なぜなら、CRAの初任給は高めですが、その後の給料はなかなかあがらないからです。
同じ階級のCRAと比べて突出した業績がなければ昇進できない。
CRAとしての階級が同じである以上はプロジェクトとしての忙しさが異なっても給料は同じ。
正直やってられないなと思うことも多いです。
評価方法は会社によるので、一概にすべてのCROがそうだとは言い切れませんが、初任給が比較的に高額だからといって騙されないようにした方がいいですよ。
上がらないモチベーション
私は医薬品開発に携わり、困っている患者さんが治験で救われたらいいなと思ってCRAになりました。
しかし、実際、CRAは製薬会社側の人間で、本来の仕事は医薬品開発を成功に導くことです。
依頼者のやり方や言い分に納得いかないことがあっても、製薬会社側の人間として動かなければなりません。
そのような場合、意に沿わない仕事をさせられている感じがし、モチベーションが下がります。
また、CRAは直接患者さんに接するわけではないため、CRCや医師から間接的に患者さんの症状の改善状況を聞きます。
治験薬が効いているという話を聞くとモチベーションは上がりますが、あまり効いていないという話ばかり効くとモチベーションが下がります。
私のようなCRO所属CRAの場合は、扱う案件が自社製品ではないので、それもモチベーションの維持を難しくしているのかもしれませんが。
そしてモチベーションの上がり下がりを繰り返して3〜4年経過した頃、自分はなぜCRAをしているんだろう?という状況に陥ります。
そんなのあなただけでしょう?と思うかもしれませんが、そう思っている人は多いですよ。
私は幸いなことに、自分の経験や知識をブログを通じて拡散するという新しい目的ができたので、現在もCRAを続けることができています。
そして辞めていくCRA
多忙な時期は、やはり仕事の多さ、人付き合いのストレスで精神的に病んだり、体調を崩したりして消えていくもしくは休職する人が後を絶ちません。
私の所属プロジェクトでも1〜2割のCRAが辞めていきました。
真面目すぎるに人にはストレスフルな環境で、そういう人は潰れやすいのだと思います。
症例組み入れが終わって落ち着いてしまえば、逆に暇になることも多いんですけどね。
CRAは忙しい時と暇な時の差が激しい仕事です。
総評:CRAはタフな人が向いている
ここまでの内容はいかがでしたか?
CRAを目指す人に現実を突きつけるようで申し訳ないのですが、犠牲者を出さないためにも真実を書きました。
私ももう中堅社員になりますが、やはり精神的・身体的にタフな人間がCRAに向いていると思います。
あなたはどちらですか?
この記事を読んでもCRAになりたい!
そんな人はCRAとしてやっていけると思います。
私も同じCRAとして応援しますので、是非頑張ってください。
それでは、次の記事でお会いしましょう。