iPS細胞を用いたパーキンソン病の新たな治療法とは?
こんにちは、もにたーです。
パーキンソン病は高齢の方がかかる神経難病です。
人口の高齢化に伴い、患者数は増加しており、長生きすると、自分にも起こりうる病気です。
にもかかわらず、既存の治療法としては、薬物治療や手術療法といった対症療法のみ。
そんなパーキンソン病ですが、新しい治療法の開発が進んでいます。
なんと!iPS細胞を用いた治療法です!
治験の実施場所は京都大。
一体どんなものなのでしょうか?
まとめてみましたので、よろしければご覧ください。
パーキンソン病とは
病気について簡単にまとめてみました。
既に知っているという方は飛ばしてください。
どんな病気?
パーキンソン病サポートネットで分かりやすく説明されていたので引用します。
パーキンソン病とは、脳の幹にあたる黒質という部分の神経細胞が次第に減少し、その神経が働くときに使うドパミンという物質が減ることによって起こる病気です。ドパミンは、脳において、運動の仕組みを調節するような働きを担っているため、ドパミンが減ることにより、動きが遅くなったり、体の緊張が高くなったりします。一部のパーキンソン病は遺伝子が原因で発症することがわかっていますが、多くは原因不明で、遺伝することはありません。
どのくらいの人がかかる?
全国患者数は20万人程度と推定されています。
罹患率は10万人当たり100人~150人なので、1000人に1人~1.5人ということですね。
イメージとしては1学年300人くらいの高校に1人いるかいないかくらいの確率です。
50歳以上の方がかかる病気なので、あくまで人数のイメージとして捉えてもらえればと思います。
65歳以上では、さらに罹患率が高くなり、100人に1人程度となります。
長寿国である日本では、今後も患者数が増えそうですね。
既存の治療法は?
現時点では、症状に対する治療として薬物治療や手術療法があるのみです。
残念ながら、病気の進行を止めることができる治療法は開発されていません。
出典/参考:難病情報センター、パーキンソン病サポートネット
iPS細胞用いた新しい治療法、京都大で治験
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冒頭でも述べましたが、なんと!
iPS細胞の用いた新たな治療法の治験が2018年8月から京都大で行われています!
しかもあのノーベル賞を受賞した「iPS細胞」です。
どんな治療法なのでしょうか?早速見ていきましょう。
どんな治療法?
京都大 iPS細胞研究所 HPによると、この治療は、iPS細胞をドパミン神経前駆細胞へ分化させ、患者の脳に移植するというものです。
パーキンソン病はドパミン細胞におけるドパミン産生量の減少により発症します。
そこで、この前駆体細胞を移植してドパミン細胞を生着させ、ドパミン産生能力を改善させようというものです。
まさに再生医療ですね。
移植の方法は、頭蓋骨に小さな穴をあけ、注射針のようなもので細胞を注入する手術とのこと。
また、移植後の拒絶反応を抑えるために、タクロリムスという免疫を抑える薬を投与するのだそうです。
対象となる人
京都大 iPS細胞研究所 HPで、主な参加条件が公開されています。
調べたところ、どうやらパーキンソン病における外科的治療の適応条件を考慮して参加基準が設定されているようです。
5年以上の罹患歴があり、薬物によるコントロールが不十分である人が対象となります。
かいつまんで言うと、病気が進行してしまい、薬の効きも悪くなって手の打ちようがなくなった方ということですね。
参加基準に書かれている「Hoehn&Yahr(ホーン・ヤール)」重症度分類とは、パーキンソン病の病気の進行度を示す指標です。
薬の効いていない「オフ」状態の時はⅢ以上、薬が効いている「オン」状態の時はⅢ以下の人が治験の対象となります。
また、L-ドパというのは、レボドパのことで、ドパミン不足を補う薬です。
L-ドパに対する治療反応性が良好である(症状にある程度の改善が認められる)ことが必要となります。
対象人数は?
登録予定人数は7人とのこと。
第Ⅰ/Ⅱ相で少数患者さん対象なので、妥当な人数なのでしょう。
まとめ
パーキンソン病の新たな治療法として、iPS細胞を用いた治療法の治験が京都大で行われています。
この治験が成功すれば、大日本住友製薬との共同開発で治験が進んでいくとのこと。
iPS細胞は京都大学の山中教授らによって2006年に発表、2012年にはノーベル生理学・医学賞を受賞しましたが、着実に実用化に向けた準備が進んでいますね。
京都大でのこの試験は対象となる患者数が少ないですが、治験が進めば対象患者数は多くなり、参加条件ももう少し幅広くなるでしょう。
まずは京都大での治験成功を祈って。今後に期待です。
それでは、次の記事でお会いしましょう。