関節リウマチの治験ってどんな人が参加できるの?


こんにちは、もにたーです。

日本に関節リウマチ患者さんがどれくらいいるか知っていますか?

文献によると、推定で60〜70万人の患者さんがいるそうです。

関節リウマチは現在の治療法では根本的に完治させることができませんが、寛解といって疾患の症状が治まっているレベルに到達させることを目指して治療が行われています。

治療薬である抗リウマチ薬は種類が多く、それに伴って治験もたくさんあります。

特に最近は生物学的製剤やJAK阻害剤と言われるタイプの薬も開発されてきていますので、まだまだこれから新薬開発が増えていくことが予想されます。

そこで、今回はどんな人がリウマチ治験に参加できるのか、よくある参加基準について解説します。

抗リウマチ薬には治験に関するガイドラインがある

本題に入る前に、実は、抗リウマチ薬には、治験に関するガイドラインである「抗リウマチ薬の臨床評価方法に関するガイドライン」があります。

これは国が作成したものです。

この種のガイドラインは、あるものとないものがありますから、いかに日本で抗リウマチ薬の開発が盛んに行われ、重要と考えられているかが分かりますよね。

治験依頼者である製薬会社は、このガイドラインを参考に治験を計画していますので、以外と重要な情報源なんですよ。

大まかではありますが推奨される参加基準や、各治験の段階における治験期間なんかも書かれています。

興味にある人は覗いてみてください。

参加者選定のための選択基準と除外基準



治験の参加基準には、参加者を選ぶための基準と、落とすための基準があります

治験用語で、それぞれ選択基準・除外基準といいます。

治験では、参加者として適格な人を見定めるためのスクリーニング期間が設けられています。

この期間中に全ての選択基準を満たし、全ての除外基準に当てはまらないことが分かった人が治験参加者として本登録されます。

これらの基準の内容は、治験の段階毎に若干異なるのですが、よくある基準をご紹介します。

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よくある選択基準



①アメリカリウマチ学会の分類基準によって関節リウマチと診断され、機能障害度がClass1〜Class3

専門医にリウマチと診断され、治療をしていたらクリアできる基準だと思います。

機能障害度とは、いわゆる日常生活に支障をきたしている度合いのことです。

Class1〜4までありますが、Class4に該当する人は治験に参加できません。

寝たきりなど、自分では動けないような人が該当するので、治験参加が適切ではないのは明らかですからね。

②腫れのある関節数が6以上、押して痛みのある関節が6以上

これらの関節数はよく変動するので、意外な落とし穴になることがあります。

どういうことかというと、医師から治験の話を聞いて参加することを決めても、いざスクリーニングを実施する、という時には基準を満たしていなかったりします。

また、一部、スクリーニング時だけでなく、治験の本登録直前にも基準を満たしていなければならないという条件が設定されている場合があります。

日本は国民皆保険制度があるため、基準を満たすが比較的軽症の人が治験に参加する傾向があります。

日本人はすぐに病院に行きますが、海外は皆保険制度がないので、痛くても我慢し、我慢できなくなった時に病院に行くのが通常だからです。

そのため、日本では元々基準ギリギリの患者さんが治験にチャレンジし、あと少しのところで基準を満たさない、ということもよくあります。

③CRP値(C反応性タンパク)

CRPは体内で炎症反応や組織の破壊が起きているときに血中に現れるタンパクです。

リウマチによる炎症が起きている場合、CRPは高値を示すため、この数値が選択基準として設定されていることがあります。

数値は治験によって様々ですが、通常0.3mg/dl未満が陰性とされているため、0.4mg/dl以上の値に設定されていることが多いです。

リウマチ患者さんでは、疾患の症状があっても、この値が対して高くない人もいるようです。

また、他の検査値もそうですが、常に測定値が一定しているわけではないので、この値が必須の治験では、基準を満たせずスクリーニングで落ちてしまうこともよくあります。

④リウマトイド因子(RF)、抗CCP抗体が陽性

これらはいずれもリウマチの疾患マーカーです。

リウマチの人は、RFや抗CCP抗体が陽性であることが多いため、選択基準として設定されていることが多いです。

⑤結核の罹患がない

治験で服薬する薬の中に生物学的製剤(特にTNF-α阻害薬)が含まれる場合、結核発症のリスクがあるため、結核の罹患がないことが条件として設定されます。

結核の罹患については、胸部X線やクオンティフェロン検査で確認します。

結核の罹患が確認された場合、治験に参加できません。(症状がなく潜在的なものであれば、条件付きで参加できる場合もあります。)

よくある除外基準



①治験参加前の抗リウマチ薬の使用

治験で使用することが許容されている薬以外は、治験参加中の併用ができません。

そのため、治験に入るためには、同意後から使用が禁止されている薬の服薬をやめ、体内からウォッシュアウトする必要があります。

飲んでいた薬をやめた状態でウォッシュアウトが完了するまで一定期間(4週間が多い)を過ごさなければならないため、その間に悪化するリスクもあります。

②B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルスの罹患

検査で陽性であった場合、治験に参加することはできません。

③その他感染症の罹患

リウマチは自己免疫疾患ですので、免疫を抑える薬が多いです。

治験参加時に感染症を罹患している場合には悪化のリスク、直近で感染症に罹患していた場合には治験参加後の感染症発症のリスクがあります。

そのため、感染症の罹患がないことや治験参加前一定期間の感染症の罹患がないことが条件として設定されています。

④検査値

検査値の基準はどの治験にもありますが、関節リウマチも例外ではありません。

以下は今までに見たことのある検査項目です。数値を書いてしまうと担当治験が分かってしまう恐れがあるので割愛しますが、少なくとも基準値の1.5~2割を超えるレベルで基準から外れてしまっている場合は落ちる可能性が高いです。

ヘモグロビン
白血球
好中球
リンパ球
血小板
アラニンアミノトランスフェナーゼ(ALT)
アスパラギン酸アミノトランスフェナーゼ(AST)
総ビリルビン
クレアチニンクリアランス

⑤重篤な心血管系疾患、肺疾患、肝疾患、腎疾患、消化器系疾患、甲状腺疾患、血液系疾患の罹患

「重篤な」というところがポイントです。

重篤な疾患がある患者さんを治験に参加させるのは危険であるため、設定されています。

では、重篤でなければいいのか?というと、そういうわけでもありません。

軽症〜中等度のこれらの疾患を罹患している場合は、疾患がよくコントロールされ、症状が安定している必要があります。

医師がコントロール良好で治験参加に問題がないと判断した場合に、初めてこの基準をクリアできます。

⑥関節リウマチ以外の自己免疫疾患の罹患

他の自己免疫疾患を罹患していると、治験薬の効き目などが正しく評価できない可能性があるため、治験では対象外とされます。

⑦悪性腫瘍の罹患または既往歴

悪性腫瘍も重篤な疾患ですので、治験参加には適していません。

⑧ステロイドの使用

ステロイドはリウマチ治療に使用されます。よく見かけるのはプレドニゾロンですね。

治験参加前の一定期間から用量・用法が一定している必要があります。

加えて使用する用量が制限され、プレドニゾロン換算で、1日10mg未満として設定されることが多いです。

また、治験期間中は用量・用法の変更ができませんので、一時的にリウマチの症状が悪化したり、治験薬で症状が改善しても、増やしたり減らしたりができません。

⑨NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の使用

リウマチの疼痛を抑えるために使われます。どの薬を使うかは医師の好みにもよりますが、ロキソニンやセレコックスといった薬がよく使われているのを目にします。

NSAIDsについてもステロイドと同様、治験参加前の一定期間から、用量・用法が一定している必要があります。

こちらは、1日の用量が制限される場合と制限されない場合があります。

私が過去に担当していた治験では、1日300mgとされていました。

また、ステロイドと同様、治験期間中は用量変更ができません。

まとめ

関節リウマチ治療薬の治験を担当していると、似たような参加基準を目にすることが多いです。

数値など、多少の違いはあれど、根本的なところは同じということでしょうね。

今、ちょうど治療中の方は、服薬中の薬を確認してみる、検査値を教えてもらうなどして、自分の状態をある程度把握しておくとよいかもしれません。


それでは、次の記事でお会いしましょう。

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