いずれは遠隔地の自宅からでも治験参加が可能に?


こんにちは、もにたーです。

一部で治験の「バーチャル化」なるものが進んでいるのをご存知ですか?

治験のバーチャル化?なにそれ?という感じですよね。

自宅からの治験参加を目指して、海外で新しい試みとして実施され、日本においても実施できるように準備が進んでいます。

情報をまとめましたので、よければご覧ください。

治験は医療機関と評価のタイミングが決まっているのが難点



治験のデメリットといえば、まず安全性面への懸念ですが、もう一つの大きなデメリットとして利便性の悪さが挙げられます。

なぜかというと、治験をする医療機関と治験の評価のタイミングが決まっており、医療機関はたいてい平日が稼働日だからです。

土曜も稼動している医療機関ももちろんありますが、治験対応しているところは多くありません。

そのため、実質、休みを取りにくい社会人、遠隔地に住んでいる人、は参加が難しいという現状があります。

バーチャル治験とは

治験はリスクがあるとはいえ、有効な治療法がない場合などには、治療の選択肢の一つとなります。

ですが、通える範囲に治験をしている医療機関がない場合や仕事柄休みがとりにくい人、は参加が非常に難しいです。

移動に時間をかけてでも治験に参加したいという方もいますが、実際に参加すると、移動で疲れている上に治験の評価で疲れて、とかなり大変そうです。

そのような方が気軽に参加できるようになったらとてもいいですよね。

参加者を集める側からしても、治験に協力してもらえる人は多い方が良いです。短期間で参加者を集めることが、国からの早期承認取得に繋がるので。

そこで、患者さん側・治験をする側がwin-winの関係を構築でき、自宅からの治験参加を可能とする「バーチャル治験」が考案されました。

バーチャル治験では、スマートフォン等のデジタルデバイスを活用して血圧などの治験に必要なデータを測定し、その結果をオンラインで医師が確認し、診察します。

実際に、2011年にファイザーさんが過活動膀胱治療においてバーチャル治験を初めて実施しました。

目標数の参加者が集まらず失敗には終わったものの、18人の参加者で行った治験の結果は、従来の治験と同じくらい安全で有効であったとされています。

また、2016年にはサノフィさんがヨーロッパで糖尿病を対象としたバーチャル治験を行っています。こちらはワイヤレスのグルコースメーターで血糖値を自動測定するというものでした。

バーチャル治験に関する文献はこちら(英語ですが興味のある方はどうぞ)↓
http://www.appliedclinicaltrialsonline.com/virtual-clinical-trials-future-patient-engagement

Sanofi bets on virtual clinical trials


http://www.appliedclinicaltrialsonline.com/pfizers-remote-virtual-experience

最近では、米IQVIAさんが7月から始めた遠隔臨床試験サービス「バーチャルトライアルソリューション」を日本国内でも提供できるよう準備中とのことです。
※日刊薬業で本記事が見れますが、無料会員登録が必要です。

どの病気の治験が対象となる?



期待を膨らませていた方には申し訳ないのですが、残念ながら、全ての病気が対象になるわけではありません。

今のところ、バーチャル治験の適応が可能とされているのは、以下の疾患です。

・内分泌疾患や糖尿病
・皮膚疾患
・中枢神経系疾患
・呼吸器疾患

治験という性質上、通常の診療において頻繁な来院が必要とされず、遠隔地でもデータを評価できる病気の治験でなければなりません。

例えば、血糖値や血圧など数値が基準となる糖尿病や高血圧は、遠隔でも評価できますよね。

対して、細胞を顕微鏡で見たりする必要があり重篤度の高い癌などは、頻繁な来院(というより評価)が必要なため、バーチャル治験は難しいとされています。

参加者のメリット



バーチャル治験のメリットを考えてみましょう。

やはり一番のメリットは、自宅にいながら治験に参加できることです。

治験を実施する医療機関というのは、対象となる患者が多いところ・その疾患領域で有名な医師がいるところ、になることが圧倒的に多いです。

医薬品として承認を得られた後の販売のことも考えている(つまり宣伝も兼ねている)からです。

治験で実際に使ってみて効果があるのを目の当たりにしていたら、いい薬だと思いますし、販売され始めたら採用しようかなと思うのが普通ですからね。

ですので、どこでも望めば治験に入れるわけではないですし、特に地方の場合は、家から通える範囲に治験をしている医療機関がない、なんてことも往々にしてあります。

治験をしている医療機関が近くにない場合は、遠方から通わなければなりませんが、移動はしんどいですよね。

私が知っている事例では、宮崎から山口に通っていた患者さんがいました。

負担軽減費が10,000円だったので、往復だと交通費は足が出るだろうに、よく通ってくれたなと今更ながらに思います。

私も仕事柄、出張が多いのですが、長時間の移動はさすがに体に堪えますので、患者さんも長時間移動に加えて医療機関で色々しないといけないのは疲れるだろうなと思います。

それがなくなるのですから、身体的な負担はかなり減りますよね。

また、多忙な社会人の場合は休みを取らなくても治験に参加できるようになります。有休も消化しなくて済みますね。

そして個人的に一番ポイントかなと思うのが、待ち時間がかからない、ということです。

病院の待ち時間、とくに有名な先生だと予約制でも時間がかかるのが現状です。

たとえ家が近くても、待ち時間が長いと暇ですし何より時間がもったいないですよね。

それが完全になくなるので、大きいと思います。

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参加者のデメリット



次にデメリットを考えてみましょう。

治験のメリットの一つとして、負担軽減費(7,000~10,000円)が得られることが挙げられます。

これは治験のために通院してもらうための交通費の負担軽減がメインであり、医療機関が近ければ近いほど(つまり通院の交通費がかからないほど)、差額分の得をします。

バーチャル治験の具体的な仕組みがどのようになるかはまだ想像がつきませんが、恐らく負担軽減費は出ないであろうと想定されます。なぜなら通院が不要になるので。

従って、自宅が近い人がバーチャル治験に参加する場合は、このメリットは得られないことになります。

通常の治験に参加した方が、診察料等込みでも得をするので、通えるのであれば総合的に見てもそちらの方がよいでしょう。

また、基本的にデジタルデバイスを使うことが前提なので、何かしらの機械トラブルに見舞われる可能性があります。

そして不備があった時は、問い合わせや場合によっては交換など、普段は治験スタッフがするような手続きを自分でしないといけません。

課題

このような遠隔治験では、参加者の自己管理力が従来の治験と比べてより求められます

例えば、降圧剤の治験で血圧測定時間が決まっているとします。通常、血圧は安静にした状態で血圧計を用いて測定しますよね。あの二の腕付近を締め付ける機械です。

バーチャル治験の場合は、デバイスを用いて自動測定になりますが、もし、測定時間直前に血圧が上がるようなこと(例えば運動)をしていたら、その時の血圧は運動に影響され上昇してしまいます。

治験では、治験薬を飲み始める前の時期(ベースラインといいます)のデータをもとに、治験薬を飲み始めた後の各データの変化を経時的に見て効き目や安全性を評価します。

本来得られるべきデータに何かしらの影響が加わってしまうと、正確な評価が難しくなってしまい、治験データとしての信頼性に欠けてしまうという事態が起こります。

従来の治験であれば、医療スタッフの言うとおりに動くだけでよかったのですが、バーチャル治験では来院しなくなった分、管理してくれる人がいないので、自分でしっかりと管理しなければなりません

とはいっても、医療にも治験にも詳しくない人にはなかなか難しいと思いますので、治験コーディネーターなどのサポートは必須だと思います。

治験の評価をする日の前日に電話で注意喚起するなど、正確な治験データを得るために参加者側をどのようにサポートしていくのかが課題でしょうね。

まとめ

ついに治験もバーチャル化する時代になりました。(あまりバーチャル感はありませんが)

事例が少なすぎて、詳細を調べることができないので、まだあまりピンと来ないのが正直なところです。

この記事でお伝えした課題以外にもまだまだ課題も多いようで普及には至っていませんが、実績を経て方法が確立されていくと、いつかバーチャル治験が普通に行われる日が来るのでしょう。

まずは海外での動きに注目しつつ、更新情報を待ちたいと思います。


それでは、次の記事でお会いしましょう。

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