喫煙していても治験に参加できる?
こんにちは、もにたーです。
近年、電子タバコの登場により、禁煙を試みる人も増えていますが、まだまだ従来のタバコで喫煙する人もいます。
喫煙者の中にも、治験に参加したいという人はいますよね。
しかし、タバコを吸っていても治験に参加できるのでしょうか?
今回は、喫煙者の治験参加の可否についてお伝えします。
タバコと薬の飲み合わせ
タバコの3大主成分と言われているのが、「タール」「ニコチン」「一酸化炭素」であり、そのうち、タールが服薬に影響を与えます。
薬物相互作用について述べられたこちらの記事では、以下のことが記載されています。
タール中に含まれる多環芳香族炭化水素は薬物代謝酵素であるチトクロームP450分子 種のうちCYP1A2,CYP2E1を強く誘導する。その他の喫煙由来物質にも,CYP1A1,CYP1B1などの薬物代謝酵素を誘導することが報告されている。
小難しく書かれていますが、要はタールに含まれる物質が薬の代謝を促進し、血中濃度の低下を引き起こす、ということです。
言い換えると、喫煙者と非喫煙者が同じ薬を飲んだ時、喫煙者では薬が血流に乗って体中を巡る量が少なくなり、効果が減少するということです。
また、薬によっては、タバコの成分の影響で効果が強めに出てしまい、安全性上のリスク増大に繋がることがあります。
喫煙による影響を受けやすい薬として紹介されているのは、テオフィリン(喘息治療薬)、プロプラノール(本態性高血圧症,狭心症,発作性心房細動の予防に用いられる薬剤)、ワルファリン(血液凝固阻止薬)オランザピン(非定型抗精神病薬)、インスリン(糖尿病治療薬)、経口避妊薬です。
喫煙と治験
薬によっては喫煙の影響を受けやすいので、通常の治療においても、喫煙者に対しては慎重に投与しなければなりません。
それは治験も同様で、違うのは、治験の場合はより厳しい取り扱いとなるということです。
あなたが医者ならば、喫煙との影響があると予想され、その影響が未知数である薬剤の治験に、喫煙者を参加させるでしょうか?
しませんよね。まず危ないですし、治験で得られるデータの解釈にも影響を及ぼします。
そのため、薬によっては、喫煙者の治験への参加を禁止します。
喫煙者でも治験に参加できる
今までお伝えしてきたように、薬によってはもろに喫煙の影響を受けます。
しかし、全ての薬がそうであるわけではありません。
つまりは、喫煙の影響を受けないかまたは影響が少ない薬の治験には参加できるということです。
中には、ヘビースモーカーだろうが何だろうが、参加基準に合致さえすれば参加できる治験もあります。
実際に、私が担当していた関節リウマチ治療薬の治験も、喫煙者の参加を妨げるものではありませんでした。
まとめ
喫煙者は一概に治験に参加できないわけではなく、以下の2点を満たす治験には参加できます。
・喫煙による治験データ評価への影響がないまたは少ない場合
・喫煙による安全性上のリスクがないまたは低い場合
しかし、これらは治験に参加する側からすると、「開発薬のことなんて分からないし、そんなの知らないよ。」という情報です。
ですので、「喫煙者不可」の文字を見かけたら、こう思ってください。
「この治験は喫煙者の自分にリスクがあるかまたは薬の評価に影響を及ぼすからダメなのか」と。
それでは、次の記事でお会いしましょう。