「楽して儲かるバイトってありますか?」

こんにちは、もにたーです。

冒頭の質問を本当によく見かけます。

健康な人でかつ楽してお金が欲しい人が質問者で、その問いに対するたいていの回答は「治験」です。

そして治験経験者のお決まりのセリフ。

「治験は薬を飲んで採血されて自由な時間はゲームしたり寝ているだけで高額収入が得られる。」

実態はそうかもしれませんが、そこには大きな落とし穴が潜んでいることもあります。

確かに製薬会社側からすると、危険を伴う治験に協力してくれる人は非常にありがたいです。それがたとえお金目当てであろうと。

しかし、間違った認識で治験に参加するのは決して得策とは言えません。

今回は、治験が決して楽なバイトではないことを、とある若者を襲った悲劇を踏まえて解説します。

治験はバイトではない

そもそも治験がバイトとして知られていること自体が由々しき事態です。

治験参加は勤労ではありません。

困っている患者さん、よりよい医療のために開発された薬がヒトにとって安全でかつ有効であるのかを見極めるためには、どうしてもヒトで試験をする必要があります。

しかし、治験は参加が強制されたものではなく、自ら進んで参加するものです。

つまり、善意で医薬品開発に協力するということです。

それを勤労と言うでしょうか?いいえ、ボランティアですよね。

大事なことなのでもう一度。治験はボランティアです。

治験に参加してもらえるのは、給料ではなく協力費

これもバイト代と勘違いしている人がいます。

治験はあくまでもボランティアですので、もらえるのは協力費です。

治験は危険を伴うものですので、協力してくれてありがとうと言った意味合いでお金がもらえます。

そしてこれはとても残念なことですが、もし治験が無償であれば、あえてリスクを冒して参加する人なんていないでしょう。それが健康な人であれば特に。

私自身、安全かどうか分からないものを無償で服用するのは嫌ですから。

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協力費が高額である理由

健康な人を対象にした治験は、原則入院でしなければならないとされています。

加えて、治験中は参加者の安全性を確保するため、外出が禁止・制限されていたりと自由度が低いです。はたからみると軽い軟禁状態ですよね。

しかし、外出中に万が一のことが起こってしまうと、医療機関側としてもどうしようもないので、医療機関内にいてもらわざるを得ないのです。

そのため、拘束時間が長いので、協力費も高くなります。

また、健常人対象の治験の目的が治験薬の薬物動態を調べることですので、採血回数も多くなります。

一日の採血回数や入院期間は、開発薬の特性によりますが、採血回数が多かったり、入院期間が長いと、参加者の負担も大きいので、協力費が高くなります。

すなわち、高額であればあるほど、身体的な負担は大きいということです。

患者さんの場合は治療目的で治験に参加しますので、健常人と比べると協力費は高額ではありません。

しかし、治療費の一部が無料になるため、医療費面でのメリットがあります。

将来有望な若を襲った悲劇



さて、本題に入りましょう。

治験に参加するとなると、最悪の事態-薬害や死ぬこと-があるかどうか気になりますよね。

誰でもお金欲しさに死にたくないでしょうし。

しかし、残念ながら、治験で重篤な薬害は死亡に至るものも含め起こっています

健常人対象の治験は、同一医療機関内で行うことが原則となっており、加えてグローバル治験では、様々な地域の参加者を集めて行います。そのため、日本人でも海外で治験を受けるケースもあります。

※グローバル治験:1つの開発薬について、世界各地で同時に製造販売承認を得るために、共通の手順で同時期に行われる治験のこと。

つまり、海外で起きたからといって他人ごとではないということです。

では、早速事例について解説します。

TGN1412という新薬の健常人対象の治験です。これはヒトで100%重篤な副作用が起きたために注目された事件です。

2006年、ロンドンのとある病院で6名の健常人男性がTGN1412という新薬の治験に参加しました。

協力費は一人2000ポンド。日本円で言うと20万円くらいですね。

彼らは同時に治験薬を服用しましたが、投薬後1時間もしないうちに頭痛や筋肉痛などの体調不良を訴え、そのあと事態はさらに悪化し、血圧低下、意識障害、痙攣、呼吸困難などの症状が出始めました。

そして6名全員が集中治療室で人工呼吸器を装着されたのです。

医師たちの必死の蘇生措置により、奇跡的に一命は取り留めたものの、後遺症が残ってしまった人もいるとのことです。

どうやら、動物試験の結果からは予測できなかったことが起きてしまったようですが、いずれにしてもたった20万円のために死にそうな思いをするなんて全然割に合わないですよね。

この事件について言えば、安全性に関する開発会社の事前の検討不足もあるでしょうが、治験では予測のできない事態は起こりえますし、それが重篤なものになることもあるということです。

死亡例についてはこちらで解説しています。

治験は危険!?過去にはこんな薬害・死亡事故が報告されている(健康な人編)

治験は危険!?治験ではこんな死亡例が報告されている(日本編)

まとめ



ここまで読んでいただければお分かりかと思いますが、治験でもらえる協力費が高いのは、身体への負担が大きいからです。

楽をして短期間でお金を得ようとしたがために、薬害で苦しまされたり、帰らぬ人となってしまった事例も少ないながらあります。

重篤な副作用は開発会社に責任がありますが、そもそも治験に参加しなければ起こらなかったことでもあります。

治験は完全なものではありません。開発会社も医師も安全には万全を尽くしますが、それでもリスクがゼロになることは決してありません。

「治験は薬を飲んで採血されて自由な時間はゲームしたり寝ているだけで高額収入が得られる。」

これは間違った認識です。開発薬が本当に安全だったのかもしれませんが、たまたま参加者に副作用が起こらなかっただけとも言えます。

治験に参加する以上、副作用のリスクはあります。それが重篤化すると死に直面することもあります。

お金が欲しいからと言って安易に治験に参加するのではなく、治験は危険を伴うものであることをよく考えてから参加してくださいね。


それでは、次の記事でお会いしましょう。

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