治験担当医が親身になってくれない。
こんにちは、もにたーです。
既存の治療では効果が得られない。
他に治療方法がない。
そんな理由で治験に望みをかける人もいますよね。
担当医に相談して治験をしている医師に紹介してもらった。
早速医師に会いに行ったはいいものの、治験には参加できないとあっさりと断られた。
治験しか頼るものがないのに。
なぜそんなに簡単に断られるのか?
なぜ親身になってくれないのか?
治験をする医師は冷たい人間なのか?
それは誤解です。
参加させたくても参加させてあげられないのです。
この記事ではその理由についてお伝えします。
医師の多くは患者のためを思っている
治験の相談をしたはいいがあっさり断られることもあり、治験をしている医師は親身になってくれないと思っている人もいるようです。
しかしそれは誤解で、医師の多くは患者にとって最良となる治療を行いたいと思っています。
治験の場合はその性質上、医師も慎重になっていますので、厳しいことを言っているように聞こえてしまうのでしょう。
医師が患者のことを考えているという証明のため、体験談をお話しします。
私は仕事で医師に治験の打診をした時に、次のようなことを言われたことがあります。
・患者のメリットが少ないのではないか。
・安全性に懸念があるのではないか。
・プラセボありの治験は患者が可哀想だ。
これだけでも、治験であれば何でも引き受けるのではなく、患者のことを考えていることが伺えますよね。
通常であれば、国から承認を得た薬でなければ診療で使えませんが、治験であれば、承認を待たずして最先端医療を受けることができます。
効果を証明する、安全かどうかを証明するにはデータが不足している開発薬を使うわけですから、治験をする側も参加する側もそれなりのリスクを伴います。
そのリスクのある治験をあえて治療の一つとして取り入れているということが誰のためか?、は言うまでもないですよね。
治験に理解/興味のない医師もいる
治験は評価スケジュールが決まっていますので、治験をすると、定期的に治験対応をしなければなりません。
治験に関する対応はほぼ治験コーディネーターがするので、医師は治験データを記録した書類を確認してサインをしたり、治験に関する手続きに関する対応をするくらいではあります。
ですが、ただでさえ多忙な医師ですから、治験をすると仕事がさらに増えるわけです。
そのため、治験は業務量的にやっていられない、という医師もいます。
また、治験は試験的な意味合いを兼ねているため、したくないという医師も中にはいます。
実際、仕事でとある病院の医師に治験の実施について相談しようとして連絡したところ、興味がないからと断られたこともあります。
治験に興味や理解のある医師でなければ、治験の相談をしたところで協力が得られない可能性がありますので、そこは少し注意が必要かもしれません。
治験にはいくつもの参加条件がある
治験の目的はその開発薬の効き目や安全性を試験することです。
治験では、決められた時期に評価を行わなければなりません。
加えて、効き目に関するデータや安全性のデータが十分に集まっていない開発薬を使うわけです。
そのため、治験参加者は以下のような人でなければなりません。
・対象疾患に対する開発薬の評価が適切にできる状態の人
→似たような症状を持つ異なる疾患を患っている場合は参加できない
・治験に参加した時の安全性上の懸念が極力ない人
・病気の症状が日常生活にあまり支障をきたさないくらいの症状であること
→寝たきりの人などは参加できない
・対象疾患以外にも疾患を患っている人はよくコントロールされていること
→例えば、糖尿病の治療を始めたばかりで血糖値が安定していない人は参加できない
・求められたスケジュールで治験に参加できる人
従って必然的に参加条件が厳しくなってしまうのです。
特に、効き目と安全性の評価の観点からの基準が多く、あともう少しのところで何かしらの基準に引っかかってしまって参加できないというケースがほとんどです。
治験担当医が治験を断わるのは患者のためでもある
先ほどお伝えしたように、治験には誰彼構わず参加させることができるわけではないのです。
参加するには厳しい参加条件をクリアしなければなりません。
例え他に治療方法がないとしても、参加条件をクリアできない場合は開発薬の評価ができない状態であるか、安全性リスクがあるということです。
特に安全性リスクがある場合は、地雷原に患者を放り込むようなものですので、普通の倫理感を持つ医師であればしませんよね。
リスクと利点を天秤にかけた上で、リスクが上回れば、治験に参加させることができないという判断がされるのです。
まとめ
治験をしている医師は、最先端医療に興味を持っていて、困っている患者の助けになればいいと、治験を引き受ける人が多いです。
ただ、治験は参加条件がありますので、望まれても参加させてあげられないことも多々あります。
医師は患者の状態を理解していますので、断るのは心苦しいと思いますよ。
例えば、対象疾患以外の病気が指摘されたばかりで治療が行われていないために、今は参加させてあげられないと断ったという話を聞きました。
他の条件は満たしていそうであったのに。
いくつもある参加条件のうち、たった一つの条件に合わないだけで参加させてあげられないのです。
紹介してくれたけどできることがなかったと、その先生は残念がっていました。
ですから、決して親身になってくれないとか、冷たい人間というわけではありません。
治験をしている医師は、ちゃんと患者さんのことを思っています。
それを知っておいていただければと思います。
それでは、次の記事でお会いしましょう。