こんにちは。もにたーです。
治験に参加する時、何がメリットで何がデメリットなのか気になりますよね。
デメリットの内容によっては、参加するのやめておこうかな?と思う人もいるのではないかと思います。
今回は、デメリットの方について解説します。

治験のデメリットって何ですか?安全性面ですか?

そうですね。でも安全性だけじゃなくて、他にも色々ありますよ。
目次
副作用が現れる可能性がある
これは言わずも知れたリスクですよね。
治験薬に限らず、市販されている薬についても同じことが言えます。
じゃあ治験と市販薬で何が違うの?といえば、それは、どんな副作用が起きるのかが統計的に分かっているかどうかの違いです。
これはなぜかというと、薬候補の物質(被験薬)を投与された人の数が市販薬に比べると圧倒的に少ないからです。
つまり、治験では、副作用の傾向は掴めているものの、安全性に関するデータは不足しているということです。
それを踏まえて、治験で最も注意すべきは、今までの試験段階で報告されていない副作用が起こるリスクがあるという点です。
世の中には色んな人がいますから、治験に参加した人が全員、たまたまその副作用が現れないということもありえます。
そうすると、次の段階の治験を行う時に、予期される副作用として報告されません。
既に知られている事象であれば、医師が何に注意すればよいかわかりますが、まだ知られていない、潜在的な副作用については、対応が難しいところがあります。
例えば、リンパ球が減少するという副作用が予め知られていれば、被験薬を飲んでリンパ球が徐々に下がってきた時に、これは副作用かもしれないという意識に繋がるわけです。
しかし、それがまだ知られていない副作用だったらどうでしょう?
気づくのが遅れてしまい、大事に至るということになりかねません。
※そうならないように医師は慎重に観察していますが、注意していても重篤化してしまうケースはあります。
特に、健康な人が対象となる治験(第I相)では、人に初めて投与される治験です。
この治験では、体の器官や検査値にほぼ異常がない人に対して、安全と考えられる用量を投与します。
そのため、副作用が起きたとしても、重篤なものは稀ですが、海外では死亡例が報告されているケースもありますので、注意が必要です。
時間的に拘束される
治験の参加条件に合うかどうかを調べるスクリーニング来院では、診察時にまず同意文書に署名をしてから、治験の手順を行います。
事前に治験の説明を受けている場合は、その分時間が短縮されますが、当日説明を聞いてから同意し、すぐにスクリー二ング検査、となると1時間くらいの差が出ます。
治験の手順としては、質問票や複数の検査を実施してからまた診察など、やることが多いので、かなりの時間を要します。
しかも、ちょっとした院内ツアーみたいな感じで動き回るので、疲れる人もいます。
半日(午前または午後)あれば終わると思いますが、病院に数時間の滞在は確実です。もちろん、スムーズにいけば別ですが。

今度は●●に移動しましょう。

え、まだあるの!?早く終わらないかなあ・・・
治験薬を服薬し始めた後の来院は、スクリー二ング時よりは時間はかかりませんが、診療状況にもよるので、1〜2時間は見ておいた方が確実です。
予約していても、診察は順番ですからね。
治験のために予定調整が必要
治験では、治験薬の服用を開始した日を起点として2週間後、4週間後、…●週後に来院しなければならない、というように、来院のタイミングが決まっています。
規定の日から±3日というように、許容範囲もありますが、限られた期間内で来てもらわなければいけないので、予定調整が必要なります。

今日は5/25なので、次は4週後の来院のために、6/19〜6/25の間で来て頂きたいのですが、いつがよろしいですか?

その辺の日程で旅行の話が出てるので、後日連絡してもいいですか?
決まった来院以外に追加で来院が必要になる場合がある
治験では、来院のタイミングが決まっていますが、それ以外で来院が必要になる場合があります。
一番あり得るのは、検査値に異常が確認された場合です。
グレード(異常の度合い)によっては、安全性確認のため、数日以内に来てもらわなければならないことがあります。
また、以下の2つは参加者からすると、あるかないかの稀なケースですが、治験では時々起こるので紹介します。
①治験薬が割付できない
治験薬にはそれぞれ番号が付けられています。
参加者がどの治験薬を使うかは、システムを使って割り振ります。
しかし、システムエラーによって一時的に使えなくなったりすることがあり、その場合は、治験薬を受け取るため、近日中にもう一度来てもらわなければなりません。
また、こちらも稀ではありますが、医療機関に参加者に割り振るための治験薬が不足してしまっている場合というのもあります。
この場合はシステムを通じて割付ができないので、後日取りに来てもらわなければなりません。
これは、治験薬を医療機関に搬入するタイミングが遅れ、その前に参加者が来院した場合などに起こり得ます。
②検査関連
検査に不備があった場合(血液量不足で測定できなかったなど)に、安全性が評価できないため、再検査に来てもらわなければならないことがあります。
これは中央検査(外部の共通検査機関で行う検査)の場合に起こります。
私が担当している治験でも再検査が必要になって、参加者の方に来てもらったケースが何度かあります。
私が対応するわけではないですが、自宅が遠い方だとなんだか申し訳なくなってしまうんですよね。。。
指示どおりに治験薬を飲み切らなければならない
通常診療であれば、朝起きるのが遅くなって飲めなかったりなど、多少の飲み忘れはありますよね。
私も服薬コンプライアンスはあまりいい方ではありませんし。
でも、治験では、原則、指示どおりに治験薬を飲み切らなければなりません。
とはいっても、誰しも忘れることくらいあります。
なので、たまーに忘れるくらいであれば特に問題ありません。
しかし、何度注意しても飲み忘れが改善されなかったり、頻繁に飲み忘れが発生するような場合は、問題視されます。
このようなことをしていると、治験の評価が適切にできなくなるため、治験をやめさせられることがあります。
ちなみに、やめさせられるとまではいかないまでも、今後、治験には参加させないでおこうか、と医師が判断しているという話ならば聞いたことがあります。
やることがたくさんある
治験によっては、質問票・服薬日誌がある場合があります。
質問票について言えば、何種類もあり、質問数が100を超えることもあります。
私が今担当している治験がそうです。正直、面倒だと思いますよ。
アイパッドみたいな機器を使う場合は反応悪かったりしますし…
医師の疾患評価もそれでしますが、使いづらくてイライラされていたりするそうです(汗
また、服薬日誌を採用している治験もあります。紙の日誌だったり、最近はインターネットサイトや電話を使ったりもします。
週に1回服用というようなものであれば記録は簡単ですが、毎日のように服用するものでは、日誌を付けるのは面倒なことこの上ありません。
一部の薬の服用が禁止・制限される
治験では、被験薬の評価や安全性の観点から、一部の薬の併用が禁止されたり、制限されています。
つまり、病気をした時は、限られた薬の中から治療薬を選ばなければならないということです。
(ただし、治療上必要だったり、安全確保のためにやむを得ない場合は使われます)
制限薬を使う分にはまだいいですが、禁止薬を使ってしまうと、治験を継続できなくなったり、データが使えなくなることがあります。
そのため、薬の服用には気をつけてもらわなければいけません。
医療用医薬品については、治験参加時にもらう治験参加カードに禁止薬や制限薬が書かれていますので、それを医師に渡せば処方を防げます。
問題は個々に購入できるOTC医薬品です。
何かしらの理由でOTC医薬品を服用する場合は、明らかに禁止薬・制限薬ではない、と言い切れない場合を除き、一度治験コーディネーターに相談してください。

●●は飲んでもいいですか?

そのお薬は併用が禁止されているので、同じ効果を持つ違うお薬にしてください。
妊娠できない(妊娠させるのもダメ)
治験中は妊娠できません。
女性はもちろんですが、男性が女性を妊娠させてしまうのもダメです。
妊娠すると胎児に悪影響を及ぼす可能性がありますからね。
治験では、妊娠を避けるため、治験参加中は決められた方法で避妊してもらう必要があります。
最近は厳しくなってきているのか、避妊具だけではダメで、ピルも併用しなければならない、なんてのもあります。
治験中は子供が作れないので、若くて結婚している人には治験はあまりオススメしません。
ちなみに、海外は少し貞操観念がゆるいのか、ちょくちょく妊娠報告がありますが、日本では稀に聞くくらいでほぼありません。
まとめ
以上がデメリットです。
治験では、何かしらトラブルがあったり、時間的な拘束があったり、守ることややることが多いという特徴があります。
この記事を読んで、たいしてデメリットじゃないなと思う方は、治験に向いているかもしれませんね。
それでは、次の記事でお会いしましょう。