治験のバイトって儲かるの?



このような質問をよく見かけますが、そもそも治験は有償のボランティアなので、バイトという表現は正しくありません。

治験では、参加してくれた人に対して、バイト代ではなく、負担軽減費用が支払われるのです。

高額収入が得られるとして知られている治験。

確かに一般的なアルバイトよりは少ない労力で多くの収入が得られます。

では、実際には負担軽減費はどのくらいもらえるのでしょうか?

そしてそれはなぜ高額なのでしょうか?

今回はその実態に迫ります。

負担軽減費には相場がある

治験のために通院や入院が必要となる場合、交通費などの負担を軽減するために、1回の来院または入退院につき、相場7,000円~10,000円の負担軽減費が支払われます。

私の経験上、クリニックや私立病院は10,000円のところが多く、公立病院や国立病院は7,000円のところが多い印象です。

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健康な人対象の治験で短期間で高額がもらえるのは負担が大きいから

健康な人を対象にした治験は、原則入院で行われ、その期間は短期間であることが多いです。

このタイプの治験では、初めてヒトに開発薬を投与し、ヒトでの薬物動態や安全性を明らかにすることが目的です。

そのため、予測される薬物動態によって治験期間が異なります。

つまり、比較的すぐに体内から開発薬の影響がなくなるものは数日程度、体内の残留期間が長いものであれば、数週間にわたることもある、ということです。

この薬物動態を調べるために、服薬後、時間をおいて何回も採血する必要があり、加えてヒトに初めて投与するため、治験期間中に有事が起こった場合に備えて入院も必要です。

健康な人を対象とした治験が高額なのはその安全性リスク、採血回数の多さ、拘束時間の長さに由来しています。

例えば、私が知っている患者さん対象の治験の中に、1日で行われる任意の薬物動態試験があります。

この試験では、開発薬を服用した後、数時間おきに合計7回の採血が必要です。しかも8時間以上拘束されます。

これを無償でやってください、なんて言われても時間は取られるは血は抜かれるわで嫌ですよね。

ですので、協力費として1回の採血につき1,000円を支払っている医療機関があります。

来院して7,000円、採血7回で7000円ですから、薬を飲んで採血するだけで1日に14,000円もらえます。

普通のアルバイトで同じ額を稼ごうと思ったら相当な労力が必要なので、それを考えると、おいしい話ですよね。

健康人対象の治験も同じことです。特に必要としていない薬を安全性リスクを負ってまで飲んで、何回も採血され、何時間も拘束されるのは嫌ですよね。

でも、お金が高額なら参加してもいいかなと思うでしょう?

そういうことです。予測される負担に対する対価が払われていると思ってください。

患者さん対象の治験は合計で見ると高額になるが、月単位で見ると多くはない

患者さんを対象とした治験では、疾患により、入院・通院のパターンが異なり、その治験期間も様々ですが、健康な人に比べると月単位の協力費は少なくなる傾向があります。

例えば、多数の関節リウマチ患者さんを対象とした治療薬の通院治験(第Ⅲ相)では、治験期間として1年程度が設定されています。

リウマチはよくはなっても完治しない病気ですから、薬を長く使った時の安全性と効き目を調べるために治験期間が長くなります。

私が担当しているリウマチの治験では、全部で15回程度来院がありますので、負担軽減費だけで年間10万円を超えます。

しかし、健康人対象の治験と違って通常、採血は1回(採血のタイミングが指定されていれば複数回あることも)ですので、それに対して費用が加算されることはありません。

トータルで考えると確かに高額ですが、来院間隔がだんだん広くなっていくので、月単位で見ると、もらえる額は多くないです。
(その代わり、医療費面でのメリットがあります。)

まとめ

治験の協力費が高額になる理由、なんとなく分かってもらえましたか?

短期間でもらえる額が高いということは、それなりの負担があるということ。

まずはそれを忘れないでください。

そして、

その治験は入院・通院のどちらか?
来院間隔・回数はどのくらいか?
治験で何をするのか?
身体的負担はどのくらいか?
拘束時間はどのくらいか?

単に協力費が高額だからといって惑わされず、上記についてきちんと検討した上で治験に参加されることをお勧めします。


それでは、次の記事でお会いしましょう。

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