治験をしている医師って報酬をもらってるの?
こんにちは、もにたーです。
あなたは知っていますか?
実は、治験では、治験を依頼する製薬会社が治験を実施する医療機関に対して、治験のための費用を支払っています。
治験薬投与症例の医学的評価などに対する研究費や、治験薬を管理するための費用など、治験の費用にはいくつかの種類があります。
そしてこれらの内、研究費が治験を行う医師に対する見返りになります。
では、その費用はどのくらいの金額になると思いますか?どのように決められていると思いますか?
治験に参加する側からすると未知の領域ですよね。
今回は、普段は知られることのない、治験の研究費について解説します。
医師がお金をもらいすぎかどうかはこの記事を読んでから判断してください。
目次
参加者一人当たりにつき研究費が決まっている
治験では、ポイント算出表といって、治験毎に研究費などの治験費用を決めるための表があります。
この表には試験の段階、対象患者層、治験薬投与期間、臨床検査項目数などの項目が含まれ、それらに対して治験の内容を当てはめてポイントを算出し、一定額を掛けて研究費が決まります。
これは参加者一人当たりの金額です。
「一人当たりの研究費=算出ポイント×定額」
治験では、どのくらいの数の参加者を登録してもらうかを医療機関毎に決めるため(契約症例数といいます)、症例数によっては、研究費の合計が結構な額になることもあります。
「研究費の合計=算出ポイント×定額×症例数」
私が担当している治験は多数患者さんを対象とした第Ⅲ相試験で治験薬投与期間は48週ですが、一症例当たりの研究費は60万〜80万程度ですので、症例数が5例だと計300万〜400万が支払われます。
現在では、目的を達成した場合に支払いが発生するマイルストーン契約が主流になり始めているため、参加者を登録した(治験薬投与を開始した)時点で費用が発生することが多くなっています。
昔は最初に研究費を全額支払うケースもあったようですが、契約した症例数の登録を達成できなかったら、ただのぼったくりですよね。
さて、先程から●●万〜■■万といった記載をしていますが、これはポイント算出表を含む治験費用の算定基準が医療機関により異なるためです。
そのため、研究費といっても医療機関や治験毎に幅があり、高いところもあれば低いところもあります。
支払い費用の内容を事前に審査する医療機関もある
各医療機関で治験をするためには、治験審査委員会という第三者機関で治験の実施が承認され、かつ依頼者と医療機関との間で契約を締結する必要があります。(開発業務をアウトソーシングしている場合は、三者契約になります。)
医療機関によっては、研究費など治験の費用が適切かどうかを治験審査委員会で審査し承認を得なければならない運用になっているところもあります。
中には、費用だけでなく、契約書も審査対象というところもあります。
このような徹底した医療機関は治験参加する上で安心かもしれませんね。
高額な研究費を要求する医療機関もある
先程、費用の算定基準が医療機関によって異なるということをお伝えしましたが、中には他の医療機関の研究費の数倍の金額を要求されるところもあります。
どことは言えませんが、同じような契約症例数なのに、研究費を含む治験の合計費用が2〜3倍くらい違うところがありました。
さすがに高すぎると思いつつも、だったら治験をしないと言われると困るのが治験依頼者です。
その医療機関の医師が参加者を数多く登録してくれる信頼も厚い人で実力もあるのであれば、何だかんだで払ってしまうんですよね。
研究費をスタッフに還元する医師もいる
これは私が聞いた話ですが、どうやら治験で得た研究費を医療スタッフに還元している医療機関があるようです。
そこはクリニックなので、研究費はたいして必要ないのかもしれませんが、自分のものにせず還元するなんて懐が広い先生ですね。
治験は手順が色々と決まっていて面倒ですが、ちゃんと働いた分がお金に還元されるのであれば頑張ろうかなと思いますよね。
もし私が医療資格を持っていたら、そういう素晴らしい先生の下で働きたいところです。
金額についてどう思うかはその人次第
治験では未承認薬を使います。
治験薬や治験そのものが原因で健康被害が起きた場合の責任は製薬会社にありますが、医療行為の責任は医師にあります。
治験手順を守らなかったり、良くない兆候を見落としたりして起こった健康被害については、医師の責任が問われます。
通常の診療でも同じですが、医師は人の命を預かっています。
効き目や安全性が確立されていない薬を人に投与し、観察するという行為に対する見返り金額が適切であるのか?
人により思うところはあるかもしれませんが、医師はよりよい医療のためにリスクを背負って治験を受けています。
中にはお金儲けしか考えていない医師もいるかもしれませんが、ごく一部だと信じています。
あなたが治験を受ける時、担当医師は信頼に足る人物なのか?
それを見極めてもらえればと思います。
それでは、次の記事でお会いしましょう。