こんにちは。もにたーです。
2018年6月年に国際共同治験の新しいガイドライン(ICH-E17)が施行されました。
それに伴い、今後の治験状況が変化していくことが予想されます。
何を業界の話を、と思うかもしれませんが、実は参加者にも大きく関係する話なんですよ。
特に、職業治験と言われる、治験の協力費を生業としている人にはダメージが大きくなるでしょう。
一体何が起きるの!?
気になりますか?
では、具体的に解説していきましょう。
現在の治験事情について。治験案件が安定してある理由
現在の日本において、国に薬の承認申請をする時は、日本人のデータも集めないといけないよ、と規制当局(国)から言われていますので、どの治験でも、日本人症例の募集が行われています。
そのため、現在は安定して治験案件があります。
その治験案件ですが、2000年頃から国際共同治験が注目され始め、日本も遅れてではありますが、徐々に参画してきたため、現在では国際案件が増えてきています。
治験に参加したら海外の製薬会社が治験依頼者だった、というのも珍しくないのではないでしょうか。
この国際共同治験の発展が、参加者にとっては痛手になる恐れがあります。
国際共同治験の推進と今後の治験体制の変化
医薬品がバンバン開発されていた時代は終わって、現在は医薬品開発が難しくなり、競争も激化しています。
そのため、いかに他社より早く市場に出して患者さんの元に薬を届けるか、ということが課題になっています。
申請に必要なデータをいち早く集めてスピーディーな開発を行うため、国際共同治験が推進されてきました。
各国における薬の承認時期の差(ドラッグラグ)をなくすためにも必要なことです。
この国際共同治験を今よりもっと推進して効率的に開発しようぜ!
ということで、新たなガイドラインが策定されました。
日本が主導的に動いたそうですが、このガイドラインが今後の日本の治験事情を大きく変える可能性を秘めています。
職業治験の危機
このガイドラインがもたらすのは、日本人データなしでの申請が可能になる未来です。
これがどういうことだか分かりますか?
日本人のデータがなくてもよい、ということは、日本で治験が行われなくなるということです。
つまり、治験数が激減する可能性があるということです。
ちなみに、なぜそんなことが起きるかというと、日本は開発コストが高い上に症例が集まりにくいなど、開発会社からするとデメリットがあるからです。
現に、韓国や台湾で行われている治験の数は日本の数倍だそうです。
このままだと、日本はクオリティ高いけど、コストが高いし、日本で申請するのに日本人症例がいらないなら、他のアジア諸国でやった方が効率的だよねー。
となってしまうというわけです。
しかも、今までは日本人データを集めるよう言っていた我が国も、国際共同治験を推進しようと動いています。
今からすぐにどうこうなるわけではありませんし、実際に日本人データが本当に不要になるかはまだ分かりませんが、徐々に日本人対象の治験案件が少なくなるのは間違いないでしょう。
このガイドラインを受けて、日本の治験実施体制が大きく変わり、世界に日本で治験を実施する意義を売り込めればまた話は別ですけどね。
もし治験案件が少なくなったら、応募率が上がるので、より治験に参加しにくくなることが想定されます。
そして、最後には収入源がなくなってしまうという結果に辿り着くということです。
最後に
このままだと治験を生業としている企業の存続も危ぶまれるので、日本でも治験が行われるよう、動きがあると思います。
ただ、治験の協力費を生業とする人たちにとって収入源が少なくなるのは確実でしょうから、将来的には治験を生業とするのはやめた方がいいかもしれませんよ。
それでは、次の記事でお会いしましょう。